candy crown❁わあ

ハンドメイドアクセサリーのサイドストーリー

秋晴れの空


秋晴れの太陽と北風が心地よい公園。
芝生の上に座った私と彼は、ボールを蹴って遊んでいる子どもたちを眺めていた。


「気持ちいいな」


隣に座る彼が一言つぶやいた。
そよそよと吹く秋風になびく髪がなんだか愛らしい。


「ね、そろそろお腹空かない?」


少し遠くで家族連れがレジャーシートの上にお弁当を広げていた。
お腹空いた!と元気に答える彼。


よし、と張り切って、持ってきた保冷バッグを開けてお弁当箱を取り出す。
今日は彼も私も好物の唐揚げを作ってきた。
卵焼きは甘いのとしょっぱいのを両方。


「お、唐揚げじゃん!」


お弁当箱を開ける私の手元をキラキラと少年のようなまなざしで見つめる彼がとてもいとおしかった。


ソフトボール大の大きなおにぎりを手渡すと喜んで食べ始めた。
うまい、うまいと何度も言ってくれるのがとても嬉しい。


水筒に持ってきた温かいお茶をすすりながらパクパクとお弁当が消費されていく。
まるでわんぱくな子どものよう。


かわいらしい彼に、また愛しさが募っていった。

アンブレラシャワー


朝からどんより曇り空。
私の心も曇り空。


夏が過ぎて秋が来ようとしている。
最近は雨が多い。台風もよく来る。


私はテレビの前のソファに座ってテレビを眺めていた。
朝食後に淹れた熱々のコーヒーをふぅふぅしながら。


毎朝見る地方局の情報番組。
綺麗な女性のアナウンサーがカメラに笑顔を向けている。


画面は切り替わって、天気予報の時間だ。
外はやっぱりどんよりとしていていつもより暗い。


お天気お姉さんと気象予報士が笑顔で今日の天気を伝えている。


ーーこんな日にも笑顔だなんて大変だな。


そう思いながら飲み頃になったコーヒーを一口すすった。


『今日は午後から雨の予報です。傘を持ってお出かけください。』


「傘、持って行かなきゃ…」


少し肌寒くなって、ソファの端にかけてあったストールを肩にかける。




番組も終盤。
この番組が終わったら私は家を出る。


番組の最後の占いがどうしても気になってしまうのだ。
どれどれ、今日のふたご座は…。


『6位』


また微妙な順位。


『元気に過ごすと吉』


今日は無理だな。


『ラッキーカラーは青』


ほう。青ならあるぞ。
雨が降るみたいだし、ちょうどいいかも。


番組が終わると同時に立ち上がった私は、空になったマグカップをテーブルに置く。
そのままアクセサリーケースがあるチェストの前へ。


ケースを開けて、一番手前の左側に入っているイヤリングを取り出した。
そのまま横にある鏡を見ながら耳に着ける。


シャラシャラと音が鳴る綺麗な青色のイヤリング。
SNSで見つけて、個性的なデザインに惹かれて買った。


商品説明に「まるで傘のよう」と書かれていたのが決め手だった。
傘を模したデザインはたくさんあったが、私にはどれも似合わないかわいらしいものばかりだった。
そんななか、このイヤリングは落ち着いた色味で、上品な雰囲気が私にあっていた。


べつに私が上品かと言われればそうではないが、着けてみると一歩大人に近づいた感じがして私は好きだ。


そうこうしているうちに、家を出る時間が来た。


玄関に向かい、靴を履いて扉を開ける。
おっと、傘を忘れるところだった。


傘立ての傘を一本取って私は家を出た。